STADIUM CAFE 代表 藤﨑裕次氏に聞く

スポーツを通じて人と人とのつながりを作りたい!

 

 
2000年9月15日、シドニーオリンピックの開幕に合わせて開業したスタジアムカフェ。関西のスポーツバーでは老舗に挙げられる。1996年サッカーの五輪代表が出場したアトランタオリンピックで、強豪ブラジルに勝利し、日本全体が一緒になって盛り上がった姿を観て、自らもスポーツを通じた熱い輪を作れる場を提供したいと思うようになっていた。その後、自らの夢を実現するために29歳で独立・開業した。今回はそんな熱い思いを持った藤﨑代表に迫った。
 
 

起業まで

実は小学生時代は地元のリトルリーグ入り、野球三昧の毎日でした。このスタジアムカフェはサッカーの印象が強いかもしれませんが、私自身もとは野球が大好きだったのです。中学進学後も野球部で、と考えていたのですが、当時の厳しい練習や、先輩達との厳しい上下関係に嫌気がさし途中で断念(笑)。それから野球は見る側専門で、たまに友達同士で集まって草野球をする程度でした。学校卒業後は、学生時代からバイトでお世話になっていた引っ越しの会社で就職し、なんとなくいつか自分で独立したいなとは考えていました。ただ、その事はまだ何をするかは全然決まってなくて時だけが過ぎていました。
そんなある日、たまたま見たアトランタオリンピックのサッカー日本代表vsブラジル代表の試合で、当時まったくの格下だった日本がサッカー王国ブラジルに勝利し、多くの日本人やマスコミが盛り上がっているのを目の当たりにしました。1990年代に入って大リーグの野茂投手、セリエAへ行った三浦選手や中田選手など、日本のスポーツ選手が海外で活躍するようになっていました。今まで日本といえば自動車や家電など、海外での工業製品の評価は高かったものの、スポーツの世界、ましてや日本人が海外で有名なビッグクラブや球団で活躍するなどとは思ってもいませんでした。その時にテレビで映っていたのは、見ず知らずの日本人同士が日本の勝利に盛り上がっている姿でした。一瞬で「これだ!!」と思いました。
見ず知らずの人でも共通のチームや球団のファン同士が集まれる場所、当時はまだ少なかったスポーツバーを作ろうと思いたったのです。それからは、スポーツバーなる物がどんなお店なのかを必至になって情報を集め、ヨーロッパではスポーツバーと言う枠組みはなく、街中にあるパブが日本で言うスポーツバーで、パブのパブは公共(パブリック)のパブである事など、当時インターネットがない時代なので、書物などから情報を集め独立の準備を始めました。
 

スタジアムカフェ開業

私が30歳の時、シドニーオリンピック開幕の2000年9月15日に開業しました。当時たまたま友人の知り合いがJリーグの関係者であった事から、多くの方に声をかけていただき、開店当初は多くのスポーツ観戦好きなお客様が集まってくださり、さらにマスコミの方々にも声を掛けていただいた事から雑誌やテレビに取り上げていただくなど、思った以上に順調なスタートを切る事ができました。しかしそんな状況は長続きせず、いつの間にかスポーツバーとしての利用ではなく、単なる居酒屋として来てくれるお客様が多く、思ったようにいかない時代も続きました。いまでこそサッカー代表の試合だけでなく、テニスの錦織選手やWBCの試合でスポーツバーに集まって観戦するような文化が根付いてきましたが、当時は家で観戦する方が多かったように思います。ですので、地元のクラブで、このミナミにたくさんのサポーターがいるセレッソ大阪に注目し、アウェーで試合している日には、お昼時の試合であろうと一人でお店を開店する事に決め、地道に営業を続けていました。最初はポツポツのサポーターだったのですが、サポーター同士が口コミで来店してくれるようになり、アウェーの試合には50人ほどサポーターが集まってくださる事もあり、スポーツバーとしての経営を軌道に乗せていく事ができました。
 

スポーツを通じて笑顔に

先日行われた社会人野球日本選手権大会の決勝。大阪ガスvs日本生命の時には日本生命様から試合当日にご予約の連絡をいただき、当初は40名で予約とお聞きしていたのですが、蓋を開けたら、80名近い日本生命ファンで店内は埋め尽くされました(笑)。また、先日行われたボクシングの世界タイトルマッチ。フィリピンの英雄パッキャオ対メイウェザーの試合でも満員になりました。この時には、インバウンド(海外旅行者)のフィリピン人も来店するなど、ようやくスポーツバーとして受け入れられたように思います。起業の時に思っていた「スポーツ観戦を通じて人々が集まり、熱い輪を作る」が少しは実現できたかもしれません。今後もスポーツを通じて皆さんが笑顔になれるような空間を今後も作れるようなお店が造れればと思っています。このフリーペーパーの読者は在阪大学体育会の皆様だと伺っております。テレビの向こう側で活躍する選手になってください。ここ大阪ミナミ!スタジアムカフェから地元のみんなで応援しております。笑顔を作る側としての活躍をスタジアムカフェ従業員一同、願っております。